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笑いの中にも温かな人のつながりを描いた「人間賛歌」
 大阪の下町を舞台に繰り広げられるはるき悦巳原作の人情コメディ『じゃりン子チエ』。アニメ化された劇場版とテレビシリーズともに好評で、特にテレビシリーズは関西地区を中心に何度も再放送された。そうした人気を受け制作されたのが、テレビシリーズ第二弾となる『チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ』だ。
 主人公は小学生ながらホルモン屋を営み家計をささえるチエ。勉強は苦手だが、それでも下町の大人達を相手に立派に店を切り盛りしていく。その父親・テツは遊んでばかりの乱暴モノ、バクチやケンカに明け暮れ、まるで父親らしいところが見られない。ダメな大人の見本のようだが、どこか憎めず周囲からは文句を言われながらも愛されている。他にも酒が入ると手がつけられないお好み焼き屋の社長、気弱でテツに頭が上がらない警官ミツル、おしゃべりが過ぎるマサルの母……そうした、ちょっと癖の強い下町の住人達。そんな大人達に囲まれ、チエは冷ややかなつっこみを入れつつも日々、たくましく生活していく。
 そこに描き出されているのは、大阪の下町の住人の日々の暮らしであり、おせっかい、時にありがた迷惑とも言える近所との交流であり、ともすれば現代では失われがちな風景である。ユーモアたっぷりに描きだされる、そうした下町の人々の姿は、人間そのものへの確かな理解に裏打ちされたものであり、笑いと明るさに彩られた人間賛歌が作品の根底にあると言えるだろう。だからこそ、時にはどつき合いにまで発展するドタバタ騒動も、悲惨さや陰鬱さは感じず、あくまで笑えるどこか暖かいコメディとして楽しむ事ができるのである。
楽しむポイント
娘の財布を狙う
“父”
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チエの落とした財布が見つかるも、あろうことかテツはそれを奪おうと、チエと取りあいになる。
チエちゃん奮戦記
じゃりン子チエ
第1話「拾った財布はなおコワイ!」を視聴する
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自称“不幸な少女”のチエだが、母、おバァ、おジィからの温かい家族愛に包まれている。 家族の他にも、学校の先生、同級生、その親という、多くの近所づきあいが、爆笑エピソードを生みだす。 他人の子供でも平気で怒鳴り飛ばすテツ。近年では見られなくなった人間関係だ。

漫才? 新喜劇? 関西弁で繰り広げられるドタバタ劇
 本作の魅力は何といっても個性的なキャラクター達と、関西弁でテンポよくやり取りされる会話だ。たとえば、第1話ではこんなやりとりが展開される。
テツ:「金の亡者が集まって何の相談や? わしかてな、100年も小遣いもらわへんかったら、自殺する根性あんねんど」
チエ:「財布落としたんや」
テツ:「なんやて? おまえ、今何言うた!」
チエ:「財布落としたんや」
テツ:「な、な、ちょ、ちょっと、おまえら、そのポーズ冗談やないな! あほ、ドアホ、スカタン、カス! わしがスカンピンで自殺したいのに、落とすんやったら、なんでわいの前で落とさんのや!」
(第1話より)
 まるで、どちらが子供でどちらが大人か分からないような、やりとりである。テツとチエをはじめとして、こんな調子のかけあいが随所で繰り広げられる。そして、チエとテツを中心に、町内の様々な人物、さらには猫達までが加わってドタバタ劇となっていく。
 時には、いつも騒動を大きくする自分勝手なテツも(ごく稀に)チエや周囲の人物のために奔走することもある。そうしたホロリと来るエピソードも盛り込まれ、下町特有の人情劇が描き出されている。
楽しむポイント
奇っ怪な変装
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顔が怖すぎて、ケンカ相手のヤクザが寄りつかなくなってしまったテツは、自分の顔に絵の具で別の顔を描くというテツらしい奇想天外な方法を思いつく。
チエちゃん奮戦記
じゃりン子チエ
第2話「顔が悪いッ!」を視聴する
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騒動のきっかけは、往々にして大人達。特にテツが絡むとややこしくなることがほとんど。 小学生にも複雑な人間関係があり、時には脱毛するほどのストレスを感じている。 ガキ大将だったテツ。大人になった今でもテツとその周りの人々との人間関係はそのままだ。
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単純バカともいえるテツにも内に秘めた想いがあった。花井拳骨の妻の命日のホロリとさせるエピソード。 猫の世界にも厳しい猫の掟があり、猫同士の戦いは、時にマフィアの抗争を思わせるほど激しく厳しい。 二本足で歩き、本を読み、人生を語る小鉄。どの登場人物よりも“大人”として描かれる小鉄から見た人間達の姿がまた面白おかしい。

原作の持つ魅力を最大限に引きだしたスタッフ陣
 第一シリーズではチーフディレクターが高畑勲、キャラクターデザインが小田部羊一が務めたが、第二シリーズではスタッフが一新され、監督には横田和善、キャラクターデザインに才田俊次がついている。ともに第一シリーズに参加しており、さらに横田は高畑勲の元、『赤毛のアン』などの絵コンテを担当しており、また才田も『パンダコパンダ』『劇場版じゃりン子チエ』などの原画を担当、高畑・小田部の技法を知り尽くしたスタッフ陣である。そうしたスタッフ配置のもと、作風やイメージは前作の路線を継承し、劇場版や第一シリーズに遜色のないクオリティを維持した。また原作のはるき悦巳の意向もあり、エピソードや台詞にはオリジナルの要素を極力入れず、原作の魅力を最大に引きだす手法がとられた。
 さらに、そうした原作の持ち味を活かすため、第一シリーズ同様、声優にはネイティブな関西弁が話せる関西人を多数起用し、関西弁でのやりとりは自然なイントネーションで繰り広げられ、物語に独特のテンポとリズムを与えている。
楽しむポイント
怒濤のおしゃべり
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女陣対男陣で行われる野球の試合で、いつものことながら猛烈にしゃべり倒すマサルの母。
チエちゃん奮戦記
じゃりン子チエ
第5話「テツの最後ッ屁」を視聴する
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原作のイメージそのままに、吹きだしにセリフを入れる画面作りが随所に見られる。 ただでさえ大きな顔のテツの顔が、威圧的に巨大化する。こうしたマンガ的な演出も取り入れられた。 テツ役の漫才師西川のりおをはじめとした声優陣が、大阪の下町の住人達を生き生きとしたものにした。

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(C)はるき悦巳/双葉社・東宝・TMS
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物語 登場人物