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80年代当時のアニメは『ガンダム』に象徴されるように、子供から若者までが共感できるドラマ性を前面に押し出したスタイルが主流になりつつあった。『ゴッドマーズ』もまた、そのトレンドに外れず、子供だけではない対象を意識したストーリー構成やキャラデザインを採っている。また、話が進むたびに少しずつ状況が変化していく「大河ドラマ」仕立てになっていた。
それに対し『鉄人28号』は、原作の構成を踏襲した、特撮ヒーロー物のような「1話完結型物語」を基本としたストーリーで。ストレスなく、1話ごと容易に物語の世界に入っていける作品を意識している。 |
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『鉄人28号』の主人公・正太郎は裏表のない性格の明るく真面目な少年。幼くして両親と死別している上に、鉄人の操縦者という重大な責務を背負いながらも朗らかさを失わない、誰もが共感できる愛すべきキャラクターだ。インターポールのメンバーで、10歳にして自動車の運転ができ(警察からライセンスを特別許可されたという設定)、拳銃(本作では麻酔銃)を持つ、といった少年の憧れを原作同様に具現化した要素が盛り込まれている。
『ゴッドマーズ』の主人公タケルは、地球で育った異星人という設定。しかも超能力が使えてゴッドマーズを操縦できる超人なのだ。地球を守るクラッシャー隊の一員となり、自分が育った地球を生まれた星よりも愛しているが、自分が死ぬと地球を滅ぼす爆弾が作動するという、幼くして両親を亡くした正太郎と比べてもかなり深刻な境遇にあるキャラクターだ。それゆえに孤独であり、思い悩み、悲しい宿命に耐えなければならない美少年戦士タケルの姿は、女性ファンを中心に人気を集めたのだ。 |
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両作品に共通するのは「平和に正常発展して豊かな近未来となるはずの地球」が、何者かの悪意によって危機にさらされるという物語だ。危機をもたらすのは、前半期の『鉄人』が「豊かな世界を喰いものにしようとする悪人」で(後半期のストーリーには宇宙からの外敵も登場する)、一方『ゴッドマーズ』は「地球の発展を恐れて滅ぼそうとする異星人の支配者」だ。
『鉄人28号』の各話は、こうした悪人たちに正義の心を持つ少年・金田正太郎が立ち向かい成敗するという「勧善懲悪」物語だが、各話に巧みに組み込まれたテーマのほとんどは現実的な「社会問題」なのだ。軍事目的の兵器としてロボットを売買する「死の商人」や「自然破壊」、「科学の横暴」「動物愛護」といった、21世紀の現代社会でも通用するテーマを含み、今見ても遜色のないストーリーになっている。
『ゴッドマーズ』の前半期の各話は、異星の支配者が地球を滅ぼすべく送りこんだ戦士を、地球を守る主人公・明神タケルが迎撃する「地球防衛戦記」だ(中盤で大ボスが変わると「宇宙戦記」へ変わる)。放映当時人気を集めたのは、登場人物の秘密が明らかになっていく過程や人間関係の推移、それによって変化していく人間の感情の機微を描いた「人間ドラマ」だ。現在の韓流ドラマを彷彿させるウェットな展開を、韓流ドラマが生まれるはるか前に具現化、しかも遜色ないストーリーになっている。 |
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『鉄人28号』は格闘戦主体で飛び道具を全く持っていない(巨大で重量がある自身が飛ぶのだから本人自体が飛び道具といえる…かも)。作中で開発者の敷島博士は「平和のためのロボットなので余計な武器は持たせない」とその理由を語っている。これは原作と同じく「鉄人」の物語の重要な設定だ。
同様に原作から引き継がれた「太陽エネルギー転換装置」と「独立連動システム」が、敵のロボットを圧する鉄人のパワーの源となっているのだが、操縦用のリモコンはデザイン面で大きく変わっている。持ち運びやすいアタッシュケース収納型のコントローラーで、「リモコン」というより携帯型の操縦席といった機能性重視のデザインだ。敷島博士の娘牧子に「Vコン」と命名されるが、正式名称は「ビジョンコントローラー」という。
『ゴッドマーズ』のデザインは原作から完全に変更された。全体的に70年代の合体ロボットのフォルムを意識した感じになっている。特記すべきは合体シーンで、4体のロボットが同時に手足のパーツに変形する段階で画面が4分割され、それぞれの画面で別のロボットが変形する。こういった同時進行する事象を画面分割で見せる合体シーンの演出効果はゴッドマーズが最初で、後のアニメ作品にも影響を与えたエポックメイキングな手法だった。 |
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『鉄人28号』の前半期のほとんどの敵は、近未来の科学力で作られたロボットで悪事を行ない人心を脅かす。悪事の内容は盗みや脅迫、破壊行為など。こう書くと現実の犯罪と変わりないように思えるが、「人工衛星を大都市に落とすと脅して国家予算規模の金を要求」したり「1万人もの人々が働く工場を丸ごと溶解」するなどスケールの大きな悪事なのだ。さらに後半期からは宇宙魔王やグーラ王子という宇宙規模の敵が出現するなど、敵のスケールはさらに大きくなっていく。科学が発展しても犯罪の減少とは無関係で、むしろ内容は深刻になるという予言めいた「警告」が『鉄人』物語の世界に内包されているのだ。これは、横山作品共通のテーマをしっかり受け継いだものとうかがえる。
『ゴッドマーズ』の前半期の敵はギシン星皇帝ズールに率いられたギシン星人。全宇宙の征服をもくろむ独裁者のズールは、宇宙進出を始めた地球を障害とみなして「絶滅戦争」を仕掛けてくる。ほとんどのギシン星人はズールへ忠誠を誓っており、地球とタケルに冷酷な攻撃をしかける。中盤からはマルメロ星の支配者ギロン総統との戦いになるが、ギシン星もマルメロ星も地球より優れた科学力を持ち、軍事面において地球にはゴッドマーズ以外にほとんど頼るべき対抗手段がない。それゆえに圧倒的な敵が地球を滅ぼそうとするという、緊張感のあるストーリーが展開していくのだ。 |
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『鉄人』のバトルアクションはストレートかつダイナミック。攻撃方法がパンチとキックと投げ技のみの鉄人に対して、大概の悪人ロボットは怪光線やミサイルといった飛び道具で鉄人を攻撃する。それを正太郎の巧みな操縦技術で突破し、得意の力感あふれる肉弾攻撃に持ち込んで悪人ロボットを撃破する瞬間は壮快だ。また悪人側が特殊な攻撃(鉄人を操縦不能にするなど)を仕掛けてくる場合もあるが、そのたびに敷島博士が対向する発明品で支援したり有効策を助言するなど、博士の策士ぶりも見どころとなっている。
『ゴッドマーズ』のバトルシーンは、敵メカとゴッドマーズとの直接戦闘の前に、敵戦士とタケルの生身同士で超能力によるバトルを繰り広げるパターンが多い。人間のしなやかな動きと派手な光線が飛び交う超能力バトルは『ゴッドマーズ』ならではの醍醐味だ。超能力バトルでどちらかが追いつめられるとロボットバトルへ移行するが、ゴッドマーズはとにかく「超」強い。合体すればたいがいの敵は1分とかからずに倒してしまう。それまで冷酷だった敵が最後にゴッドマーズの圧倒的な攻撃で粉砕される様には、カタルシスを感じずにはいられない。 |
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