★ 10年後の顔

今回頂いたメールで一番多かったのが「蘭の10年後の顔」についてでした。「なぜ蘭だけ見せなかったか」ですが、実は絵コンテの初稿ではこだま監督が見えるカットを描いていたのですが原作の青山先生のコンテチェックで見えないようにしようということになりました。つまり「蘭の10年後の顔」を知っているのは青山先生だけということですね(笑)。ちなみに「少年探偵団と園子の10年後の顔」も先生にチェックして頂き、特に「歩美」は先生自ら原画から描きおこして頂きました。
「コナンと哀の時だけエラーした」のは誰にも原因は分りませんね(笑)。もしエラーしなければ、やっぱり「新一と志保の顔」になったんでしょうか。

★ 展望エレベーター

「連絡橋」と並んでデザイン上の特徴でありストーリー上も重要な位置を占める「展望エレベーター」ですが、それゆえ設定するにあたっていろいろ大変でした。
まず定員ですがストーリー上「9人」ということになってますが、実際9人乗りのエレベーターだとかなり小さくなってしまいます。そこで「VIP専用」の特別仕様とし、デザイン上も展望用に横に広く奥行きの短いものになりました。
(それでも詰めればもっと乗れそうな気もしますが)
次にスピードですが実際はこれほどの超高層ビルともなるとかなり早いそうですが、こちらは見た目重視で何度か撮影テストして決めています。
(ジンが狙撃する上でもあまり高速にはできませんし)
そして、今回この展望エレベーターの上昇下降のカットをデジタルで処理しています。特に一部のカットでは初の試みとして「3DCG」を使っていまして、これは前にも言いましたが「サンライズ」の「デジタル映像開発部(DID)」が担当しています。3Dで作ったビルも通常の背景と同じように画用紙に描いたものをコンピュータに取り込んでテクスチャー(素地)として張り込んでいるので、見た目も他のカットと違和感ないようになっています。こちらも短いスケジュールにも関わらず、窓の写り込みや透明感、奥に見える地平線の動き等細かく調整して頂きすばらしいカットになりました。
このように「展望エレベーター」には見た目以上に並々ならぬ労力がかかっているのです。

★ ゲストキャラクター

劇場版ともなりますと「ゲストキャラクター」も多数になり、またシーンによって服変えもしますので、メインキャラと合わせて設定もかなりの枚数になります。ゲストキャラのデザインはまず監督に性格や服装の感じなどのメモを出してもらい、それを元に数点のラフをキャラデザインの須藤さんに描いて頂き最終的に監督に選んでもらっています。(部分的な直しの指示も出してもらいます)もちろん青山先生にもチェックして頂き、場合によってはキャラ原案を描いて頂くこともあります。今回は犯人の「如月峰水」の顔を描いて頂きました。
「ネーミング」の方は基本的に脚本の古内さんが考えていますが、これも青山先生の意見で変わることもあるそうです。

★ 美緒のブローチ

容疑者の一人「常磐美緒」が胸につけていた「ブローチ」ですが、ストーリーの設定上、事件の重要な小物の「お猪口」に形を似せる為デザイン作業は難航しました。シナリオで「貝殻を型取ったブローチ」とあったのでデザインワークスの宍戸さんには最初はそれを意識してデザインしてもらっていたのですが、お猪口には見えないということで結局貝殻型は意識せずデザインして頂くことになりました。(それに合わせてコナンのセリフも一部変更しています)それでもOKが出るまで監督と何度かやり取りしてもらって、できたのがあのデザインなのです。

★ モノレール

今回少年探偵団が「風間」と「如月」の家を訪ねる時使用しています。出発駅は「米花駅」なので途中で乗り換えたと思われますが(笑)、富士山が見える郊外で車窓からもツインタワービルといっしょに見えることから高架を走るモノレールになりました。ちょうどTVシリーズの設定参考に私が撮影してきた写真を監督に見せたところ使えるとのことで、劇場でも参考資料にしました。特に「あさひ野駅」など取材に行った「立川駅」そのままです(笑)。
車両もほぼそのまま作画しています。

★ 哀、一人ぼっちの映画館

青山先生の絵コンテチェックで大きく変わったシーンです。シナリオ時は「米花公園のベンチで一人孤独に座っている哀」だけでコンテの初稿もそうなっていましたが、青山先生の意見で映画館のシーンに変更になりました。しかも観ている映画の内容も細かく指定されてきたので、カット数も増え今のようなシーンとなりました。映画の中に出る昔の車「T型フォード」の資料を探すのに結構苦労しましたね。

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