★ 展望エレベーター その2

前回「展望エレベーター」の上昇下降のカットをデジタルで処理したといいましたが、後半の避難のシーンではエレベーターに乗り込むカットもデジタル処理ではありませんが、作画、撮影ともに大変苦労しています。
単純に多くのキャラが別々の動きで乗り込むだけでも作画は手間がかかるのですが、ビル内が停電していてエレベーターのみ明かりがついている設定なので、ドアが開閉する度にエレベーターから漏れる光源の動きとその光りでドア前のキャラの色も変わる為、(背景も暗い画と明るい画の二枚必要)枚数も非常にかかってセル重ねも多くなってしまい、撮影の限界近い状態でなんとか撮ってもらいました。しかもこういうカットに限って色間違い等のリテイクが出て何度か撮り直しをするハメになりまして、撮影さんには本当に苦労をかけました。

★ 少年探偵団と目暮警部の非常階段での避難

展望エレベーターで降りる途中赤ちゃんを抱いた母親と入れ替えに66階で降りて非常階段から60階の連絡橋に向かった少年探偵団と、次のエレベーターを見送った後一人で75階の非常階段から60階の連絡橋に向かった目暮警部。どう考えても前者の子供達の方が早く60階に着くはずですが、実際は目暮はかろうじて連絡橋を渡り少年探偵団は間に合いませんでした。この矛盾はどう考えれば良いかとのご質問頂きました。
確かによくよく考えてみるとそうですね。目暮の足が異常に速かったなんていっても納得できないでしょうね(笑)。
子供達が降りた66階は設定上は「コンサートホール」ということになっています。停電の中明かりは哀の時計型ライト一つしかないので4人で走り回るわけにもいかず、しかも非常階段のある場所が他のフロアと違っていてそれを探すのに時間が過かってしまい60階まで降りるのが遅くなってしまった、というのはどうでしょう。今のところこれくらいしか思い浮かびませんでした。(笑)。
エレベーター絡みでもうひとつ、少年探偵団と一緒に乗っていた女性客の一人が倉木麻衣さんに似ていたとのメールを頂いたのですが、私も気がつきませんでした。あえて似せて描いたわけではないのですが、そういう見方をされても一向にかまいませんから(笑)。それにしてもみなさん本当に細かいところまでチェックしてますね。

★ 狙撃手(スナイパー)ジン

ジンの狙撃シーンも今回の映画の見所のひとつですが、ご存知のように「予告編」で弾丸発射のカットが使われることになっていたので、制作作業も先行して行わなければなりませんでした。しかも内容的にデジタルで処理するカットだったのでスケジュール的にもきつかったです。苦労の甲斐あって「マトリックス風?」のカッコイイエフェクトで迫力あるカットになったと思いますが、みなさんいかがでしょう?
担当した原画マンさんとデジタル担当の「T.D.I.」のスタッフに感謝です。ちなみにジンが狙撃に使うライフルは「AR-15A2デルタH-BAR」という実在する銃の写真資料を参考に描いて頂きました。

★ 「園子姉ちゃん、パンツ丸見え!!」

展望エレベーターで避難する時、哀に間違われてジンの狙撃のターゲットにされる園子を救う為にとっさにコナンが叫んだセリフですが、みなさんからのメールを読んだところこのセリフがかなり印象に残っている方が多いようですね(笑)。誰の発案かとの質問ですが脚本の古内さんに聞いたところ、意外や意外このセリフは青山先生が考えたそうです。

★ 連絡橋落下

ここも今回の映画の迫力あるシーンのひとつですが、その迫力とスピード感を出す為にこの一連のカットはほとんどが1秒か1秒半という短い秒数で撮影されています。(実際には編集でさらに短く切ったカットもあります)
しかもほとんどのカットが1コマ作画のフルアニメで処理していますのでこのシーンだけで非常に枚数がかかっています。(フルアニメとはディズニー作品に代表されるようにフィルム1秒=24コマ全てを描く手法で、通常の2コマ[12枚]や3コマ[8枚]に比べて動画以降の作業が倍以上に時間がかかりますが動きはなめらかになります)
当然その内容から原画作業にもかなり時間がかかったので、このシーンが完成したのはスケジュールのかなりラストの方でしたね。ちなみに予告編にもあった「崩れる連絡橋から逃げる園子達」のカットは前カットとの繋がりや動きのタイミング等を合せるため本編用に新しく原画から描き直しています。

★ 蘭「生きて新一を待ってなくちゃいけないから・・・」

「名探偵コナン全映画パーフェクトガイド(小学館少年サンデーグラフィック)」を御覧の方はご存知のように、ジャンプする前のアップのコナン、蘭、そしてバックに現れる新一のカットを青山先生に原画を描いて頂きました。青山先生が描かれるカットは絵コンテチェックの際、御自身が決められるのですがその数も映画の回を重ねるごとに増えています。忙しい原作連載の合間という限りなく無に等しい時間を使って描いて頂いているのですが、やはり劇場コナンの一番の魅力でもありますから、今後も先生には頑張って多くのカットを描いて頂きたいと思います。
最後にサンデー編集部の高島さんへ、ちゃんと映画本の宣伝しときましたからね(笑)。

★ 蘭、決死のバンジージャンプ

劇場初日の舞台挨拶で蘭役の山崎和佳奈さんが話されたのを聞いた人もいると思いますが、台本でこのシーンがあると知った山崎さんは実際に遊園地にいってバンジージャンプを体験なされてきたそうです。まさに役者魂を感じるエピソードですね。画面にもそれが伝わってきてすばらしいアクションシーンになったと思います。ちなみにこちらも予告のカットとは別に本編用に新しく作画しています。
バンジージャンプといえば、こだま監督は高い所が苦手らしいので絶対やらないでしょう。前作の遊園地の取材の時も監督は観覧車すら乗りませんでしたから。すいません監督、秘密バラしちゃいました(笑)。

Copyright (C) 2001 TMS ENTERTAINMENT,LTD. All Rights Reserved.