右近を修理に出した日本有数の人形細工師、深見潤一郎の屋敷。三人の弟子が、敷地内にある作業場で働いている。




童人形の右近は修理のため、祖父、左衛門の古い友人である、人形細工師の深見潤一郎に預けらていた。左近は、右近を迎えに深見の屋敷へ向かうが、道に迷ってしまい辿り着いた時には夜になっていた。
右近を修理したのは、速見という腕の良い弟子で、蔵を改造した作業場で生活していた。
潤一郎の書斎に通された左近。だが、爆発音と共に、その作業場が炎上してしまったのだ。
そして、孫の小夜子が探していた、猫のリリスと速見の死体が、焼けた蔵で発見された。その蔵は密室であったため、リリスが原因で起きたガス漏れ事故という見解になった。小夜子は「リリスは人を殺したりしない!」とリリスの無実を訴える。左近と右近は、リリスの汚名をはらすため動き出した。そして再び事件が起こる。




左近の祖父、左衛門の古い友人。腕の良い人形細工師だが、年のせいか物忘れが激しくなってきた。

潤一郎の孫。幼い頃に両親を亡くしたが、元気でオシャマな女の子。飼い猫のリリスをとてもかわいがっている。

小夜子の飼い猫。チーズと煮干が好物の真っ黒な猫。

潤一郎の秘書をしているが、深見家の雑務も任されている。小夜子を娘のようにかわいがっている。

潤一郎の一番弟子。人形細工の腕でかなわないこともあって、速見と犬猿の仲。

潤一郎の二番弟子。人形細工師としての腕は確か。酒癖が悪く、だらしない。その上、口も悪い。

潤一郎の末弟子。おっとりした性格。白石恵子に思いを寄せている。

深見家の家政婦。少しのことで、すぐ感情的になってしまう。速見忠雄の恋人。



文楽人形の頭(かしら)は、木曾の檜の中でも、選ばれた良いものだけが使われている。
三ヶ月間水につけて、油を抜き、一本の木を四つに割る。そして、五年以上も乾かし、初めて、人形細工を施すことができる。
だが、文楽人形の全てが、このように手間暇掛けた素材を使うわけではない。こういった材料は、右近のように由緒ある人形に使用される。



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