伊豆にある旅館、傀儡館。別名、人形屋敷とも呼ばれる。古今東西の人形が数多く飾られている。中でも、弐面鬼像は国宝級の木像である。




橘左近は、右近を連れ弐面鬼像を見学する為、伊豆の傀儡館を訪れた。傀儡館は古今東西の人形が多数集まっていて、通称「傀儡屋敷」と呼ばれる旅館である。
明日、この傀儡館でTV番組の撮影があるらしく、人気タレントの河合舞をはじめ、その関係者がロビーに集まっていた。心配性の左近の母から頼まれ、休暇を取り叔母の薫子が左近を追いやってきた。突然、ロケ地を変更したディレクターの高村が、舞の事で何か企んでいるのを嗅ぎつけ、舞がフィギュアスケートの選手だった頃のコーチ、八木沢悟までもが現れた。
事故か?殺人か?ひとり、またひとりと死んでいく。16年前、弐面鬼堂で起きた殺人事件が鍵を握る




人気CMタレント。フィギュアスケートの選手だったが、ケガのため引退した。明るく前向きな、優しい女の子。幼い頃に両親と別れたまま。

舞のマネージャー。仕事のできる人で、舞から信頼されている。

舞の同級生。わがままで自我の強い人物。杉山と恋人同士と思いこんでいる。

TVディレクター。視聴率ばかり気にしている。視聴率のためなら少々汚い手も使う。

舞の同級生。舞に好意を持っているのだが、由紀と遊びで付き合う。派手好きな、ブランド志向の軟派男。

舞の同級生。思い込みが激しく、執着するタイプ。由紀のことが好きなのだが、相手にされない。

舞のスケートのコーチ。団体行動を好まない、単独主義者。舞のことを娘のようにかわいがっている。

高村の番組のアシスタント・ディレクター。のんびりした性格。通称、ドン亀。

弐面鬼像にまつわる伝説を良く知る、傀儡館の女将。

傀儡館に務める女将の補佐役。とても無口な人物。






かの地に鬼女(きじょ)ありし。我が子に乳を与えんため、夜な夜な出没しては人の子を喰らふ(くらう)。これを弐面鬼(にめんき)といふ。或る(ある)年、或る日、或る嵐の夜。源頼光公の宝刀(ほうとう)「鬼切丸(おにきりまる)」にて切り殺されむ。その魂は弐面鬼に封印されしといふ。
源頼光、誠に武勇(ぶゆう)の人なり。世の人なべて鬼を恐れしなか、一人鬼を切り殺さむ。頼光また慈悲深き人なり。殺せし鬼が魂、像に封印し、救い給ふ(たもう)。鬼女、己(おの)が罪を悔ひ(くい)、涙に沈めり。
哀しきものは残されし童(わらはべ)。鬼女斬り殺されし後、悪しき人に責められむ。母が影を求めて、彼方此方(あちこち)と泣き歩きし姿、胸うつ様なり。あはれ童、母が罪を背負い、苦しき海を漂ふ。ただただ哀しきものなり。
童、強き気を持ち、母が還り(かえり)を待ち続けむ。あはれに思ひ給ひし仏。千年後、共に暮らさむ事、約束せむ。


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