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大塚康生氏インタビュー
『パンダコパンダ』(以下『パン・コパ』と略)製作当時の話を聞きたくて、テレコムに大塚康生さんを訪ねた。大塚さんは当時小田部氏と共に作画監督をなさっている。
まずは『パン・コパ』製作のいきさつについてたずねてみたい。『パン・コパ』は、その前に企画があった『長靴下のピッピ』の流れを受けていると聞いているが、『ピッピ』がなぜこの作品につながったのだろう。

大塚
『長靴下のピッピ』は当時宮崎駿氏、高畑勲氏、小田部羊一氏、近藤喜文氏、 そして私も所属するAプロの企画として立ち上げて、宮崎さんはスウェーデンまでロ ケ・ハンに出かけて、キャラクター設定や家などの設定もできていたんです。ところ が映像化権などの問題でどうしても実現できませんでした。

ちょうどそのころ、東京ムービーからオリジナルの話があったんです。“パンダで 何か話を作れないか”ということでした。ええ、パンダが出るというのは、決まって たんです。というか、それが条件でした。というのは、当時日中国交正常化で中国か ら日本に初めてパンダがやって来たんですよ。すごいパンダブームでしてね。ですか ら東映もパンダで『パンダの大冒険』という企画を進めていました。で、パンダが出 れば、あとは好きにやっていい、という話だったんです。

好きにやっていいなら『ピッピ』のキャラクターが活かせるかもしれない、ということで、宮崎さんが一気 にオリジナルストーリーを書いてね。ミミ子のキャラは、ほとんどピッピのまんま、 という感じですかね。だから、ミミ子の家なんかも、なんかヨーロッパの田舎屋風で しょう?

編集部
なるほど。キャラクター設定だけでなく、世界観みたいなものはどうなんでしょう。

大塚
それも、やっぱり『ピッピ』でやりたかったことを大いに盛り込んでいますね。
普通の人たちの日常を描きながら、最大限に魅力的なアニメーションを作ろう、とい う思いは、『ピッピ』でやりたかったことなんです。

編集部
大塚さんは作画監督として、どのような点に腐心なさいました?

大塚
これは『パン・コパ』に限らずずっと私のテーマでもあるんですが、“ラッシュで見ても楽しいアニメ”ということです。

編集部
ラッシュというのは、セリフや音響効果が入る前のフィルムですね。

大塚
そうです。つまり、動きで演技している、ということです。動きできちんと演 技している作品というのは、何年たっても、ストーリーを知り尽くしていても、何回 でも楽しめるはずなんですよ。それこそアニメーションの魅力、本質だと私は思いますね。

編集部
よく分かります。そういう意味で、この作品のスタッフはすごいがんばったんだなぁ、って感じますものね。

大塚
というか、宮崎さん、小田部さん、亡くなった近藤さんと、才能あるスタッフ に恵まれていたんですね。いいストーリーがあって、才能あるアニメーターが自由に 楽しんで作ったら、これはいいものができますよ。だからこそ、今でも作品が生き続 けているんでしょうね。やっぱり現場が楽しんでいないとね、いいものは上がりませんね。

編集部
派手なアクションシーンがあるわけでもないのに、細かいところでよく動い ていたり、すごく動きに感心させられたりします。ミミ子たちが縄跳びしていて、ミ ミこ子の手から放れる縄の動きとか……。

大塚
そうそう、あのカットは近藤さんですよ。どうということないカットでもね、 個人個人いろいろとこだわりが出てくるんですよ。しかし昔も今も、そういうこだわ りは、なかなか評価されないですねぇ。たとえばディズニーなんかでは、内部で“誰々 がやったここのカットはすばらしい”といった査定があるんです。で、そういう評価 を得たアニメーターは、次からギャラがアップするんですね。なんとなく上手い人だ、 というあいまいなことではなくてシステムとしてきちんと評価を与えるというのは、 アニメーターを育てる上でいいことですよね。

編集部
評価という意味では、『パン・コパ』は興業的にはどうだったんだしょうか。
一般の評価は……。

大塚
当時はマイナーな扱いでしたね。私はいい作品だと思う『カリオストロ』や 『じゃりン子チエ』なんかも、封切り当時の入りは悪かったですね。

編集部
でも、どれも長く愛され続けています。

大塚
やはり、今でも生きている、それだけの理由があるんだと思いますね。

編集部
大塚さんのその後のお仕事の中で、日常を豊かに描いた『パン・コパ』のテー マが強く生きている作品というのは、何になりますか?

大塚
『じゃりン子チエ』ですね。これは私の今までの仕事の中でも一番好きな作品ですが。

編集部
『パン・コパ』をもう一度製作するということはないんでしょうか。森の緑 や川が美しかったですが、秋や冬の『パン・コパ』も見たいですね。

大塚
冬の話はいいですねぇ。雪景色にパンダ……(笑い)。パパンダがスキーをやったりね。

編集部
実現することを願っています。今日はありがとうございました。

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