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初の立体アニメとして77年10月から1年にわたって放映されたテレビシリーズを、劇場用に再編集した作品。立体アニメの手法としては当時画期的なもので、左右明るさの違うメガネをかけることで視神経の伝達誤差を利用したものだった。あらかじめ計算された作画が必要で、そのためにこれまでにない演出技法も取り入れられている。
立体的な映像はメガネを使わなくても十分感じられるものだった。絶えず遠景、近景、人物がそれぞれに計算された動きをしていて、この演出法は、それ以後の作品にも、映像のダイナミズムという点で大きな影響を与えたと言えるだろう。
そのダイナミックな作品を手がけたのは出崎・杉野コンビ。『ガンバの冒険』('75年)で児童文学作品をものにした二人の力量は『家なき子』でも存分に発揮されていて、シャープかつ叙情的な映像と、独創的に原作をふくらます演出力は特筆モノ。
素直で純真だが頼りなげなレミが、苦しい旅を続ける中、ビタリスの教えや数々の出来事を通して社会の中で生き抜く勇気と強さを身につけていく。純粋で気高い精神を失わないままで……。
とりわけ純粋なレミと、貧しい中にも公正さと高貴な精神を失わないビタリスの関係は、見る者に「人間の尊厳」を訴えかける。悪党も登場するが、バルブランママを始め心優しい人々もシリーズには多く登場していて(その多くは貧しい人々だが)、人間の幸福と愛について大いに考えさせられるだろう。
一方、悲惨な話が多い中で、マチヤのキャラクターも重要な位置を占めている。マチヤは原作からは大いにアレンジされているが、レミとマチヤのコンビは画面を活性化させ、レミの物語に等身大のリアリティを与えている。
100年前に書かれた長大な原作のエッセンスを現代によみがえらせた同作品はイタリア、フランスはじめヨーロッパでも放映ならびに上映され、そのクオリティは大きな評価を得た。
なお、劇場版では、テレビシリーズで描かれたレミを家族として迎え入れたアキャン家での生活や初恋の相手となるリーズとのエピソードなど、時間の関係上割愛されたエピソードも多い。
『前へ、進め!』このビタリスの口癖に励まされ、自分の人生を切り開いていくレミの波瀾万丈の旅の全ては、ぜひテレビシリーズの方もあわせて堪能してほしい。 |
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