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おなじみ夏目漱石の名作『坊ちゃん』のアニメ化。'80年6月に「日生ファミリースペシャル」として放映された。
'79年から'82年ごろまでは、一年に10本以上のアニメスペシャルが放映された、言わばアニメスペシャルの黄金期。作品の大部分がテレビシリーズの後日談や続編、児童文学の名作、また人気マンガのアニメ化だった中で、日本の文豪のあまりに有名な名作に挑戦した異色の作品だった。
明治時代の文豪の名作を忠実に影像化しつつ、主人公である坊ちゃんの青春物語として生き生きと描いている。
作画はモンキーパンチのキャラクター原画から杉野昭夫がキャラクターを設定、作画監督を務めた。坊ちゃんはどこかルパンを彷彿とさせ、坊ちゃんの盟友となる山嵐は銭形にクリソツ。山嵐は声優も納谷悟朗で、ルパンと銭形を10年若返らせてお友達にしちゃった感じで楽しめるが、これが原作のキャラクター少しもそこなっていないところがまた面白い。ちなみに坊ちゃんの声には西城秀樹が声優に挑戦し、けっこうハマっている。スタッフは他に脚本が福田善之、演出・絵コンテ竹内啓雄という布陣で、出崎統が監修を務めた。
オープニングとエンディングには、同時代の文豪、島崎藤村の『若菜集』の詩を歌詞とした渡辺岳夫のオリジナル主題歌が流れる。と、どこまでも格調高いかと思えば、さにあらず。サブキャラクターの造形はギリギリまでデフォルメされた個性派ぞろい。またオープニングでは坊ちゃんが赴任先に向かう車内のドタバタギャグが流れ、『バカボン』のおまわりさんまで登場している。また、要所要所に浮世絵風のイラストがドカーン! と背景に現れたり……と、遊び心も満載なのだ。
サブキャラクターでは、真っ正直な坊ちゃんに魅かれていく生徒の“チビ”がいい味を出していた。
この『坊ちゃん』を皮切りに、同年10月に『二十四の瞳』(東京ムービー)、'81年2月に『走れメロス』(東映動画)、同6月に『姿三四郎』(東京ムービー)、'82年2月に『吾輩は猫である』(東映動画)と、テレビスペシャルの歴史に日本文学ものとも言える系譜ができあがった。 |
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