今回紹介する第13話から第24話は、主にオスカルたちの20代のエピソードを描いた部分。アントワネットとフェルゼンの燃え盛る恋と、苦しい思いでそれを見守るオスカル、オスカルを支えるアンドレの姿が描かれる。しかし時間的にはゲストキャラのエピソードが多く、13話で登場するポリニャックとその娘シャルロット、そしてロザリーとジャンヌ姉妹が大きくクローズアップされている。それらを描く中で人間性を失った貴族の虚飾の世界、また一般市民の貧しさや次第に増幅していく国民の王室への怒りが描写され、全体として25話以降の革命に向けた流れへの序章といった役割も担っている。 制作的には、監督をバトンタッチした出崎統が、19話以降のすべての絵コンテを自ら書いている。人物の心理描写が繊細になり、オリジナルなシーンが増え、小さな伏線が生き、ダイナミックな構図が躍動する。キャラクターがまるで新たな命を与えられたかのように自らの言葉でしゃべり、行動し始める……。この後半の作品解釈、演出に、原作ファンを始め視聴者の賛否両論が吹き荒れたのだった。
第13話 アラスの風よ応えて ド・ゲメネ伯との決闘で1か月の謹慎処分となったオスカルは、アンドレと共に領地の視察に出かける。そこで見たのは、予想もしなかった領民の貧しさだった。酒場で法学生ロベスピエールと偶然出会ったオスカルは、国民にアントワネットや新国王に対する失望感が芽生えていることを知る。一方、宮廷では、ポリニャック婦人がその優しげなたたずまいと天使のような歌声でアントワネットの心を魅了していた。
第14話 天使の秘密 貴族と平民の落差に、心を痛めるオスカル。宮廷ではポリニャックの待遇が貴族のねたみを買っていた。しかしポリニャックはアントワネットの心をたくみに操り続ける。一方、パリの下町では、職を探すロザリーの元に母が馬車にはねられたと知らせが入る。かけつけたロザリーは、母から産みの母親の存在を聞く。母の葬儀を済ませたロザリーは、母をはねた貴夫人への復讐をはたすべく、ベルサイユへと向かうが……。
第15話 カジノの伯爵夫人 世継ぎを産まないことでアントワネットへの風当たりが強くなり始めた。ポリニャックはアントワネットを説得し、うその懐妊を発表する。しかし純真なアントワネットはうその重圧に心を痛める。それに乗じてアントワネットをカジノに誘うポリニャック。アントワネットはカモにされ、莫大な借金を負うハメになる。オスカルはアントワネットをいさめに行くが、それを逆にポリニャックに利用されてしまう……。
第16話 母、その人の名は? かたきと間違えてオスカルの母を襲ったロザリーは、そのままオスカルの屋敷に引き取られていた。敵討ちを手伝うと言ったオスカルはロザリーに剣を教え、宮廷に出入りできるだけの教養を身につけさせる。そしてついにある舞踏会に出席することになった。突然現れたロザリーの愛らしさは、ポリニャックの娘、シャルロットも色を失うほどだった。その会場で、ロザリーはなんと姉ジャンヌと再会を果たすのだが……。
第17話 今めぐり会いの時 オスカルと共に舞踏会に出向いたロザリーは、ポリニャックを見て忍ばせた剣を握りしめた! ロザリーの母を馬車ではねたのは、ポリニャックだったのだ。オスカルの制止で剣を納めたロザリーだったが、その彼女から産みの母は貴族だったらしいと聞かされ、オスカルは産みの親捜しに骨を折ることになる。一方、ロザリーの正体を知ったポリニャックは、目ざわりなオスカルともどもロザリーを亡き者にしようとする。
第18話 突然イカルスのように 賊に襲われたオスカルたちを救ったのは、4年ぶりにフランスに舞い戻ったフェルゼンだった。舞踏会でフェルゼンと再会したアントワネットは、胸の高まりを抑えることができない。それはフェルゼンも同じだった。しかし、フェルゼンの口から出た言葉は、結婚話が進んでいるという衝撃の告白だった。その夜、めずらしくワインをあおり、ベッドに倒れ込むオスカルの姿があった。一方アントワネットとフェルゼンは、ついに運命の恋にあらがうことができなかった……。
第19話 さよなら妹よ! ポリニャックは、11才の娘シャロンの打算ずくの結婚話を進めていた。傷つくシャロン。一方、アンドレが突き止めてきたロザリーの産みの母、それはなんとポリニャックだった。ロザリーは憎しみをさらに募らせ、ついにポリニャックの馬車を襲い彼女に銃口を向けるが、引き金が引けない。そこへ現れたオスカルは、ポリニャックに真実を明かす。衝撃を受けるポリニャック。そんな中、シャロンは結婚への恐怖を日々つのらせ、小さな胸は押し潰されようとしていた……。
第20話 フェルゼン名残の輪舞 秘密の逢瀬を重ねるアントワネットとフェルゼンの関係は、すでにパリ中に知れ渡っていた。二人の心の支えとなっているオスカルもまた、フェルゼンへの忍ぶ想いを隠し通していた。人々の目を噂の二人からそらすため、初めて正装で舞踏会に現れ、アントワネットと踊るオスカル。そんなオスカルの心中を理解しているのは、アンドレただ一人だった。やがてフェルゼンはその愛を断ち切るように、アメリカ独立戦争に参加するため、旅立って行く。
第21話 黒ばらは夜ひらく 夫ニコラスと共にニセ貴族にのし上がったジャンヌ。ローアン大司教のアントワネットへの恋慕を利用してだまし取った金でオスカルを収賄しようと、オスカルの休暇先へ現れる。姉の行動を密かに心配するロザリーだが、ジャンヌは取り付く島もない。収賄に失敗したジャンヌは代筆屋を使ってアントワネットとの秘密の文通を演出、ローアンからさらに金を巻き上げる。ローアンが疑い始めると、今度はニセのアントワネットを仕立て、秘密の逢瀬をセッティングする……。
第22話 首飾り不吉な輝き アントワネットの元に宝石商が現れ、デュ・バリに注文され、あまりに高価すぎて買い手のない首飾りを買い上げるよう請願する。断るアントワネット──。─やがて月日が流れ、アントワネットがついに世継ぎを出産した。うかれ騒ぐ市民たちは、しかし心から祝福しているわけではなかった。育児に幸せを見いだしたアントワネットは、公務をさけて離宮に引きこもってしまう。一方ジャンヌの元には、アントワネットと親しいという情報を信じた宝石商が訪れていた……。
第23話 ずる賢くてたくましく ジャンヌが作ったニセ契約書とも知らず、首飾り売買の保証人となったローアン、そして代金を宮廷に請求する宝石商……。身に覚えがないアントワネットはジャンヌ、ローアン、宝石商の裁判を要求する。市民が見守る法廷で、ジャンヌはにせアントワネットを演じた娼婦と代筆屋の証言で窮地に陥るものの、大芝居を打って出る。アントワネットとの秘密の同性愛関係をでっち上げたのだ。騒然となる法廷。王室を裁く権限のない法廷は、結局三者の断罪だけで幕を閉じる。ジャンヌは終身禁固刑に服すことになるが……。
第24話 アデュウ、わたしの青春 謎の男の手引きで脱獄したジャンヌは、ニコラスと共に隠れ家にこもり王妃の同性愛をあばく本を執筆、パリの市民をとりこにしていた。オスカルの名も上がっていたため、ロザリーは心を痛める。ジャンヌ捕縛のためにオスカルにも出動命令が下った。そんな中、ロザリーの元にポリニャックが現れ、娘として引き取る、と執拗に迫る。一方、隠れ家のジャンヌは、虚脱感と孤独感にイラついていた。やがて、ロザリーの元にジャンヌから居所を知らせる手紙が届く……。