女子全日本オープンは、麗香の優勝で幕を閉じた。スポーツメーカー他、数社から麗香にプロ契約の話しがきていた。一方、2回戦で麗香に敗退したひろみのところにもプロ入りの話しが舞い込んでいたが、その事をひろみ自身は知らない。
 ひろみは雨の中、いつものようにロードワークに出かけた。その途中、公園で藤堂の姿に気づき声をかけるが、びしょ濡れになった藤堂の様子は普通ではなかった。冷えた体を温めるため近くのレストランに入り、いつもとは様子が違う藤堂を心配するひろみ。そこでひろみは、藤堂から告白される。
 テレビから、藤堂がプロ入りを表明したというニュースが流れてきた。ひろみは藤堂の事が気になり、練習に身が入らない。麗香も「どうしても、藤堂と話しがしたい。」と藤堂の居場所を探していた。
 そして、桂は2週間ほどテニスクラブに来られないと、ひろみにその分の練習メニューを渡した。その桂を寺で待っていたのは、なんと藤堂だったのだ。

 藤堂はプロテストのつもりで、桂の厳しい特訓を受けていた。スポーツ誌の記者から藤堂が2週間後、アメリカに発つと聞く。藤堂の居場所が桂の寺だと知ったひろみは、藤堂の居る寺に向った。そこで久しぶりに藤堂と会った。藤堂は以前より元気そう見えた。そして、何かを感じ取った桂は、「寺に居たければ、居てもいい。」とひろみに寺でのトレーニングを許した。ひろみは、藤堂が気になりながらもトレーニングをこなしていた。
 一方、麗香も藤堂の相談にのっていた千葉から藤堂の居場所を聞き、千葉、尾崎と共に寺にやって来た。麗香は「上り詰めてしまった者が、なぜまた上ろうとするのですか?」と藤堂に聞く。その言葉に藤堂は驚くが、幼い頃からテニスをしてきた麗香と藤堂。同じ境遇だからこそ、麗香は藤堂の置かれている状況が手に取るようにわかっていたのだ。
 そして、藤堂はすべてを分かった上での決断であると、一人胸にしまっておいたことを話し始めるのだった。

 藤堂はスポンサーの申し出やテニス協会の推薦を断り、アメリカで1人、ゼロからスタートしようとしていた。そして出発の前日、藤堂のささやかな壮行会を行う事になった。その場でひろみは藤堂とあまり話すことができず、ひろみは帰宅した後、藤堂にフライトの時間を聞き忘れていることに気づくのだった。必ず藤堂から電話があると信じ、ひろみは藤堂からの電話を待っていた。しかし、電話のベルが鳴り、ひろみは急いで受話器を取るがその電話は切れてしまっていた。
 翌朝、ロードワークに出かけたひろみは、公園のブランコにひろみの渡した花束がある事に気づいた。そに花束には『20時15分成田発 522便』と書かれたメモが…。
 練習終了まであと1時間となった午後4時、麗香と練習試合をする事になってしまった。ようやくトレーニングが終わり、タクシーに乗り大急ぎで空港に向かうひろみ。出発時刻まで、あまり時間がない。そして空港では、藤堂もひろみが来るのを待ちわびていた。

 ひろみは間近に迫ったTOKYOカップに向け、練習に励んでいた。藤堂がニューヨークへ出発してから10日が経ち、ひろみの所へAIR・MAILが届いた。藤堂からの手紙を受け取ったひろみは絶好調。練習にも気合が入るのだった。
 練習が終わり、千葉、尾崎、麗香と食事に行くこととなった。しかし、その帰り際、千葉から藤堂が全米オープン予選出場をかけたトーナメントで、惨敗した事を聞かされる。藤堂は最後まで全力で戦い抜き、負けが決まるとコートに立ち尽くして大粒の涙をこぼしたと…。
 そして、TOKYOカップが開幕した。ひろみの一回戦の対戦相手は、全日本クラスのトーナメントには初出場となる高校2年生。しかし、試合当日の朝に届いた藤堂からの手紙が気になり、全く試合に身が入らない。その手紙には、ひろみのことばかりで、藤堂が出場した試合に関して全く書かれていなかったのだ。ひろみの試合は良い所の無いまま、格下の相手に敗戦してしまった。

 TOKYOカップの2回戦に欠員が出たため、6日後に敗者復活戦が行われる事になった。しかし、ひろみは絶不調。どうしても藤堂のことが気になり、頭から離れない。そして、ひろみはニューヨーク行きを決意、今までのことをすべてマキに話した。
 敗者復活戦を棄権し、練習もしばらく休みたいと桂に申し出るひろみ。もちろん桂がすんなり納得する訳がなかった。
 ひろみを心配する麗香は、遂に麗香がプレーヤーとして最も避けてきた事に、ひろみが踏み込んでしまった事を知る。麗香はひろみに、敗者復活戦を全力で戦ってから、ニューヨークに行くよう勧めるが、テニスに打ち込めないひろみは「駄目なんです…。」と麗香に告げる。
 空港から桂に電話をするひろみは「すみません。」と謝り続ける。そのひろみに、桂は「全力を尽くして来い。」と言葉をかける。そして、ひろみは藤堂のいるニューヨークへ飛び立った。

 ニューヨークに到着したひろみは、その足で藤堂のアパートを訪ねた。しかし、アパートの隣人から「藤堂は今朝、部屋を引払った。」と教えられる。ひろみは、「おちつけ」と自分に言い聞かせ、滞在するホテルを探すことにする。以前、ニューヨークで宿泊したホテルの近くに、テニスコート付のホテルがあるのを思い出した。しかし、そのホテルは不運にも満室。ひとまず冷静になろうと、そのホテルで軽い食事をとることに…。異国の地ニューヨークで、ひろみはひとり心細さを感じていた。
 そこへ偶然、練習を終えた蘭子が現れた。そのテニスコートが、現在蘭子のホームコートになっているのだ。そして、宿泊先が決まっていないひろみは、蘭子のアパートにお世話になることになった。蘭子は事情を聞き、翌日ひろみと一緒にニューヨークのテニスコートを探し回る。蘭子の練習が始まる時間になり、ひろみは一度、蘭子のアパート戻るのだが、またひとり藤堂を探しに出かけるのだった。
 そして、練習中の蘭子は、千葉の先輩でルポライターの佐山に声をかけられる。佐山は藤堂から地区予選に出場する為、3時の飛行機でボストンに発つと聞いていたのだ。蘭子と佐山は、急いで空港に向かった。
 そして、藤堂は蘭子の部屋でひろみの帰りを待つが、ひろみは「もう心残りはない。」とそのまま帰国しようとしていた。

 ようやく、藤堂に会うことができたひろみは、藤堂、蘭子とともに夜行バスでボストンへと向かった。もちろん、USプロサーキットの地区予選に藤堂が出場するためだ。そして蘭子も、藤堂に便乗するように地区予選の参加を決めたのだ。しかし、目的を持たずボストンに向かうバスに乗ったひろみは眠れずにいた。
 ボストンのホテルに到着すると、藤堂と蘭子は早速トレーニングに出かけた。ひろみは、ただ2人の練習につきあうだけで特にする事はない。そんなひろみに、蘭子はラケットを貸し、久しぶりに打ち合うことに…。蘭子は、サウスポーに転向したばかりとは思えないプレーを見せるのだった。練習を終え、ホテルまでの5キロほどの道のりを、3人は食後のコーヒーをかけ自転車で競争した。それはひろみにとって、久しぶりの幸せな時間だった。
 千葉が夕方の便でボストンに到着すると、ニューヨークの佐山から連絡があった。しかし、日本でのことを藤堂に知られたくないひろみは、不安に思っていた。その日、突然降り出した雨に打たれ、ひろみは高い熱を出してしまう。千葉と久しぶりに再会した藤堂は、日本でのこと、ニューヨークに来たひろみの不安を知ることになる。
 しばらく寝込んだひろみが、やっと起きあがれたのは藤堂の試合の日。そして、藤堂はアメリカでの初勝利を収めた。

 ボストンを後にし、帰国したひろみ。両親に嘘をついてアメリカへ行ったことを、どう謝ろうかと考えたいた。しかし、マキからアメリカに行ったことを聞いていた両親は怒りもせず、何も聞かず、ただ平静を装っていた。翌日、桂にも土産のワインを持って、謝りに…。両親も桂もひろみを信じ、元気で帰ってくるのを待っていたのだ。
 そして、来月下旬にクイーンズカップと言う国際的なテニスの大会が行なわれると教えられる。その大会の出場者はほとんどがプロ選手、日本のアマチュア選手はひろみと麗香だけだと言うのだ。
 クイーンズカップ出場者で優勝候補と言われる2人の、ビデオ資料を見るため竜崎邸を訪れたひろみ。もちろん麗香も、ひろみの帰国を喜んでいた。
 桂の友人に大学の男子学生を集めたテニスクラブのコーチがいる。そのコーチが先週から行っている強化合宿に、特例で参加しないかと桂に勧められる。アメリカで藤堂に会い、再びテニスへの情熱を燃やし始めたひろみは、合宿への参加を受け入れた。だが、男子に混ざっての練習はかなりハード、体力も力も差は歴然だった。
 合宿も中盤に入り、練習試合をすることになった。桂はひろみに「必ず勝て、負ければ今日で練習は中止、ウインズカップの出場も取り消す。」と申し渡す。そして、その試合に勝つことが、再びスタートラインに立つ条件となったのだ。

 クイーンズカップ'90 の開催記念パーティーが行なわれ、その会場で一回戦の組合せが発表された。パーティーが始まると同時に、会場に入ってきたのはアメリカにいた蘭子。エントリー締切3日前とギリギリで申し込んでいたのだ。
 クイーンズカップは、ひろみにとって初めての世界への挑戦になる。そして、桂は宗方の考えていた新たな戦法を、ひろみにマスターさせようとしていた。
 いよいよクイーンズカップが開幕した。第1試合は蘭子が対戦。右手を故障して以来、日本では初めての大会。サウスポーに転向した蘭子は、難なく勝利を収め復活を遂げた。
 第3試合に出場のため、更衣室で身支度をするひろみの所へ、対戦相手の森田が挑発しに来た。ちょうど更衣室に戻ってきた蘭子が、ビシッと切り返し森田を追い払う。
 試合直前、桂から練習中の新たな戦法を試合でやるよう言われる。しかし、完全にマスターしていないひろみは失敗を恐れ、チャレンジすることができないのだ。おされ気味に試合が運び、このままではひろみは負けてしまう…。一か八か、ひろみは戦法にトライしてみるのだった。結果は大成功。森田は、ボールの戻るタイミングが読めなくなり、戸惑っていた。そのまま、ひろみのワンサイドゲームとなり、誰もがひろみのプレーに驚いていた。

 麗香はひろみの第1試合を見て、竜崎理事の言っていた桂とひろみの新たなるチャレンジが何であるのかを知った。それは、体制を低くし、バウンドしたボールを地面に近い位置でリターンするという、今まで多くの名選手が成し得なかったプレー。相手プレーヤーは体制を立て直す間もなく、リターンエースを取られてしまう。テニスの癖も、型も無かった初心者のひろみに、宗方はこのプレーができるよう初めから練習を重ねてきたのだ。
 2回戦、蘭子は世界ランキング14位のマルチェス・ブロアと対戦する。この試合に勝てば、蘭子は3回戦で麗香と試合ができるのだ。しかし、最初からブロアのペースで試合が運び、第1セットを0ゲームで落してしまう。第2セット、蘭子は右手首のプロテクターを外し、医者にテニスは無理だと言われた右手にラケットを握った。あとワンポイントで第2セットを奪取するところまできたのだが、そこで右手が限界に…。蘭子の右手は、サーブトスさえ出来なくなっていた。再び左手だけで戦う蘭子は、最後まで絶対にあきらめず、死闘とも言えるすばらしい戦いを見せた。
 蘭子は、麗香にブロアの弱点などをアドバイスをする。蘭子の悔しさを思い、麗香は次の試合に必ず勝つと蘭子に告げた。
 そして3回戦、麗香とブロアの試合が始まった。ブロアは試合中、言葉で麗香を挑発し、駆け引きをしてきたのだった。

 ブロアに大きくリードされた麗香は、プライドを捨てベースラインに立ち、守りに徹した。それは『お蝶夫人』と呼ばれる麗香の、誰も見たことのない姿だった。麗香の持久戦に、次第に乱れていくブロアは自滅した。結果、ブロアに勝利した麗香は準決勝進出。しかし、麗香らしくないプレーに皆、心砕かれる思いだった。もちろん麗香自身が、一番辛く苦しいプレーであった。
 麗香は二度とこの様な試合をしたくないと、桂にひろみがマスターしたあのプレーを自分も会得したいと頼む。そんな麗香に桂は「おまえには無理だ」と…。長い間積み重ねてきた麗香のテニスが、ミスを恐れて自分自身にブレーキをかけタイミングのズレとなる。桂はそう確信していた。それでもやれるだけの事をやって、もし負けるなら相手はひろみであってほしいと願っていた麗香のすべてを理解し、桂は練習をはじめた。それは精神的にも肉体的にも、非常に厳しいものだった。
 一方、ひろみは安定したプレーで勝ち進み、決勝進出を遂げた。
 準決勝の第2試合は、麗香VSライダー。世界ランキング7位のライダーは、ブロアのようにはいかない本物のプロ選手だ。麗香は試合の中で、一歩踏み出す勇気を持ちたいと願い、寝る間を惜しんで練習したあのプレーを試みるのだった。しかし、完成された技術を持つ麗香には、簡単にできるプレーではなく、勝ち続けることにピリオドが打たれた。

 決勝戦は雨のため、翌日に延期となった。ホテルで食事をとるひろみと桂のところに蘭子が来た。昨日、蘭子は麗香の自宅を訪ね、その時麗香は涙ををこぼしながら、「すみません。もうテニスはできません」と何度も父の竜崎理事に頭を下げたと聞かされる。
 ひろみは、居ても立っても居られずホテルを引き上げて、家に戻った。荷物を置くとすぐに麗香の家に向かったひろみは、本当に引退してしまうのかを麗香に確かめたかったのだ。しかし、麗香はひろみに会ってはくれなかった。やるせない気持ちで、帰宅の途につくひろみの前に、藤堂が…。ひろみの決勝戦を見ようと、藤堂は帰国したのだった。
 ひろみは麗香のことを藤堂に話した。人には、誰にでもやりなおすための出発点があって、麗香もゆっくり考えて必ず前に歩き出す。そして、今自分達にできることは、待つことだけだと…。藤堂は、自分がプロ入りを決意した時のことを思っていた。
 いよいよ決勝戦。試合時間になったのだが、ひろみは麗香の引退のことが頭から離れずにいた。そんなひろみに、桂は「ファイナルステージに残った者は、破れた者達の分まで戦う義務を負っている。」と精一杯の力を出して戦うよう話す。
 一方、麗香はテニスを避け、ひろみの決勝戦も見に行かないつもりでいた。そんな麗香を竜崎理事は、父親の代わりは誰にもできないと優しく見守り、代わりのいる仕事は放棄しようとしていた。そして麗香は「ひろみのがんばりを見てあげなければ…。」と考え直し、父と一緒にコロシアムに向かう。
 決勝戦、ひろみは序盤から、ライダーに一歩も引けを取らない接戦となっていた。ライダーは、無名のアマチュア選手であるひろみの出現に、焦りを感じているようだった。ライダーの気迫のこもったサーブが打ち込まれ、ひろみの半歩前進したプレーは見事にリターンエースを取り、見事ひろみは女王の座に輝いた。
 そして、ひろみと藤堂が桂に見せられた、宗方の最後の手紙には…。

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