高谷浩利(たかや・ひろとし)
1965年8月、東京生まれ。
みゆきプロダクション入社。

92年「伝説の勇者ダ・ガーン」アニメーターチーフ、同年「怪傑ゾロ」キャラクターデザイン(伊合作作品)に。

作画監督作品に、93年「勇者特急マイトガイン」、94年「ルパン三世燃えよ斬鉄剣」

キャラクターデザインに、95年「黄金勇者ゴルドラン」、96年「超者ライディーン」、97年「白鯨伝説」

演出作品に、99年「真・学校の幽霊」、2000年「世にも恐ろしいグリム童話」「世にも恐ろしい日本昔話」がある。

2000年「からくりの君」で初監督。「PROJECT ARMS」は初のテレビシリーズ監督である。

編集部:
満足したカット、こうしておけばよかったというところなどありますか?

高谷監督:
細かいことを言い出すとキリがないのですが…アクションがかっこよかったり、キャラの顔が決まっているのは満足しています。例えば、第一話に隼人のARMSが涼の前で変形するところなんですが、見た目の絵の感じが良かったですね。あと、隼人と涼が格闘するシーン、スピーディーだし絵も良かった。
それから、カツミと涼の友情(今はまだ友情だと思うんですが…)を描くシーンで、いい表情が出ていたところとか、アクションの合間のほっとするシーンでいい絵がバシッときまると嬉しいですね。
こうしておけばよかったというのは…もう少し細かいところを追っていきたかったということですね。

編集部:
時間的な問題でしょうか?アニメーション制作は多忙なのが常ですが、「ARMS」は特に忙しそうですものね。

高谷監督:
各話平行して進んでいますが、一話あたりの作画期間は最初のうちは6週間、下手したら今は3週間で作ってるんじゃないかな。

編集部:
それはかなりきついですね。
時間の制約のほかに、テレビシリーズって枚数の制限もありますよね。

高谷監督:
大体一話4,000枚前後くらい使っていますね。普通のテレビシリーズでは3,500枚くらいが普通なので、多めに設定されてはいるんですけどね。「ARMS」ではアクションとか凝縮してやってるんで、もう少し欲しいくらいなんですが。

編集部:
『凝縮』っていいますと?

高谷監督:
テレビシリーズ構成に当たって、原作を凝縮しなければならないということです。一本の話として成立させるためには、どんどんストーリーを展開させる必要があって…。

編集部:
「ARMS」の登場人物って、一人一人背負っている物がすごく大きいですよね。

高谷監督:
そうなんです。それぞれの悩みや境遇を描き切るには、もっと細かいところを追っていかなければならないのに、はしょらなければいけなかったりして。
だからこれからは、キャラクターをもっと掘り下げてみたいです。例えば、隼人のおじいさんの十三なんか個性的なキャラなんですが、最初派手な出方をしてくるだけで、後はあまり出てこないんですよ。隼人と十三の生活ぶりをひとつの話として作ることは可能なんじゃないかとか。それから、涼とお母さん、カツミとの日常生活を描いたり。登場人物の生活感というところまで追って行けたらと思いますね。キャラの日常を作りこむことで、視聴者の方がもっと作品を身近に感じられるんじゃないかと思うんです。
そこまで描かないのが原作のテイスト、と考えると、描かない方がいいのかもしれませんけどね。

編集部:
でも監督自身の希望としてはあると。

高谷監督:
ええ。どうしてそういう人間になったのかと、気にする人は気にすると思うんですよ。
普通に暮らしている日常生活があって、そこから戦いという非現実に巻き込まれてゆく。非現実が現実の延長線上にあるというのを描きたいですね。

編集部:
個人的に好きなキャラというのは?

高谷監督:
どのキャラも好きだから迷ってしまいますが…。
思い入れがあるのは武士、ですね。

編集部:
それはどうしてでしょうか?

高谷監督:
原作を読んだ時から気になるキャラではあったんですが、性格をつかみかねていた部分があって…結局、涼や隼人達の中で一番武士が大人だなって気づいたんですよ。そうしたらもやもやした物が一気に晴れて、武士がぐっと身近に感じられるようになったんですね。

編集部:
武士が一番大人というのは、意外な印象を受けるんですが。

高谷監督:
武士は、もちろん最初は自分のARMSの事で悩みもするんだけど…その悩みの後は、落ち着きを身につけるんですよね。その過程を見ていると、武士は最初から大人だったんじゃないか、周りの人の助けがあって、本来の自分を取り戻しただけなんじゃないかと思えるんですよ。彼には、自分が悪かったとか反省する柔軟さもあるしね。

編集部:
それでは最後に、今後の抱負を伺えますでしょうか。

高谷監督:
もっといろいろと経験を積んでいきたいと思いますね。作画以外のことでも、例えば音楽や色彩に関してなど、自分がやってきたこと以外のことをやってみたいです。自分の幅が広がれば、作品にも幅とか深みが増すんじゃないかな。

編集部:
今後の「ARMS」も楽しみにしています!今日はありがとうございました。


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